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Exhibition Review
入谷 葉子 展 「お山の家」 【開催を終えての再考論評】

2009年5月13日(水)~5月31日(日) 1F main gallery + 2F salon
文 / 小金 沢智 (neutron tokyo) 写真 / 表 恒匡

  

  アメリカはサンフォード製の、プリズマカラーという油性の色鉛筆。入谷葉子が制作に用いる画材である。色の有無によって別の色鉛筆を使うこともあるが、 小品から縦二メートルを超える巨大な作品まで、入谷は基本的にその色鉛筆を使っている。一部シルクスクリーンや写真のコラージュが用いられているものの、 遠くからはフラットに見える画面も近づけば筆圧による凹凸が確認でき、その画面がアクリルでもなければ版画でもなく色鉛筆で作られていることに気がつくだ ろう。印刷物ではとても再現できないその質感は、サイズによってはそれこそ数十本の色鉛筆が使われることで生まれている。そこだけに注目すると作品の性質 を見誤るが、膨大な手数の集積は注目に値するものだ。

  

  個展タイトルである「お山の家」とは、かつて作家が住んでいた土地に入谷という姓が多く、それゆえの便宜的な呼称に由来する。描かれているものは入谷が かつて暮らした家の光景である。その家に呼応するように展示は正面玄関から始まり(《シャッタースポット-玄関-》color pencil・スクリーンプリント、150.0×318.0cm、2009年)、振り向くとその庭へと続いてゆく(《家から》color pencil、52.8×40.0cm、2009年)。作家によれば描かれているものの時系列は場合によって混在しており、つまり時を違えるものが家とい う一つのシンボルの下に集合している。二階吹き抜けに展示された《シロイコ》(シルクスクリーンプリント、98.0×50.0cm、2007年)、《クロ イコ》(シルクスクリーンプリント、98.0×86.0cm 、2007年)は入谷がかつて飼っていた、しかし同時期を生きていない二匹の犬である。前者はまさに白い犬そのものだが、後者は鉛筆の描き込みが甚だし く、対照的な存在感を放っていた。

  

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・開催展示再考論評1

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・開催展示再考論評2

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・展示企画書


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