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Review
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Exhibition Review
西奥 起一 展 「見ための手ざわり」 【開催を終えての再考論評】

2009年8月5日(水)~8月23日(日) 1F main gallery + 2F salon
文 / 小金 沢智 (neutron tokyo) 写真 / 表 恒匡

  自身の養鶏場で餌として使用している米ぬかと水を混ぜ合わせ、丸め、あたかも硬質な球体にする《ヌカボール》(米ぬか・水、2009年)。近隣から拾い集 めた落ち葉を押し花のように乾燥させたのち、四角形に切り揃え、パネルに貼付け、蜜蝋でコーティングし、一見抽象画のように見える画面を作り上げる《裏 山》(葉・蜜蝋、2009年)。リノベーションし、現在はカフェ&ギャラリーとして西奥が運営している築120年が経つ古民家から発見された農具の一部を 漂白、ないし磨き上げ、まるでその部分だけ新品のように見せることで、一つの物質の中に二つの時間を同居させる《Untitled 8》(古農具、2009年)。同じく、古民家の屋根裏に溜まった埃に一握りほどの土佐漆喰を混合させ、支柱にそれらを接着させ、自然乾燥させ、彫刻然とし た三角錐を作り上げる《埃の塔》(屋根裏の埃・土佐漆喰、2009年)。




  
左:《ヌカボール》(2009年 / 米ぬか・水)
右:《Untitled 8》(2009年 / 古農具)


《埃の塔》(2009年 / 屋根裏の埃・土佐漆喰)


  西奥起一が今回出品した作品はこのように、作家の身の回りの事物に手を加えたものがすべてであると言っていい。米ぬか、落ち葉、農具、埃、あるいは畳の 下から取り出した床材もまた、農具の場合と同様の趣旨による変形が一部施されている。結果として、上記のようなささやかな変形はそれらが元来持っているイ メージを軽々と覆し、飛び越え、私たちの前にまったく新しいイメージを提示するのである。説明されなければ元の素材が何であるか見当のつかないものがほと んどだ。



《裏山 1》(2009年 / 葉・蜜蝋)

 
《裏山 3》(2009年 / 葉・蜜蝋)

  

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・開催展示再考論評1

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・開催展示再考論評2

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・展示企画書


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