|   |
Gallery Schedule
  |   |   |   |   |   |   |
neutron tokyo 3F mini gallery Exhibition

柴田 芳作 展 「curious garden - 不思議な庭 -」
2010年2月3日(水)~2月21日(日) [ 会期終了 ]

Comment, gallery neutron ISHIBASHI Keigo

ギャラリーニュートロン代表 石橋 圭吾

  道ばたにふと見つけるお地蔵さん。訪れた土地土地でその格好や表情が異なり、そこに由来する数々の人生までは思いを馳せる事が難しくとも、何故か心温まる 存在である。時にそれが何百体と並ぶ異様な光景に出くわした時には畏れすら感じるが、それもまた人の心の重さを知るからであり、決して地蔵そのものの重量 感や質感の問題ではない。石を彫るという行為で生み出される彼らは、おそらく一つとして同じ物はなく、かつ手入れをする人々も異なる人生を歩んでいる。地 蔵は果たして子供の像なのか、それとも悟りを開いた老人のデフォルメされた姿なのか。私は風土史には疎いので定かな事は言えないが、どうも年齢不詳であ る。一般的には子供であると思われている向きが強い様に思うが、それは果たして時代に伴い変化したイメージなのか、何かの伝承に基づくものなのかも、私達 の住むこの時代に深く知る人は少ないであろう。だが問題は地蔵の年齢ではなく、子供のような無垢な表情と佇まいの石の人形に対する人々の思いであり、人間 が像を彫ると言う事の根源的な意味を脈々と受け継ぐ、その在り様である。

  昨今は仏像がブームであると聞く。それも若い女性が雑誌を片手に現物を訪ね歩くほど、ファッショナブルなものとして。理由は様々なのだろうが、おそらく は男女の性差が遺伝子レベルで近づきつつある現代において、仏の有様はまさに性差を超越した絶対的で象徴的なものとして受け入れられているのかも知れな い。現代を生きる女性達にとって、もはや女性の権利を主張する必要も無く、男性の力強い支配も期待出来なくなりつつある中、容姿や肉体を己の美的欲求のた めにひたすらに追い求める風潮も強いが、全く逆の志向として精神の実体を探るという意図も、仏像探しに含まれているのかもと思うことも出来る。神や仏は本 来、定まった姿を持たぬものだと定義するならば(もちろん諸説あるが)、像というのは世俗の民に寄り添うために生み出された仮の姿であり、見るべきはその 内側に宿る魂なのだろう。だがしかし、仏師や熟練の職人の彫る姿はそれはそれで魅力的なものであるため、つい私達はその容姿に見惚れ、外見を頼りにその思 慮を窺い、変化するはずのない表情の変化を察知し、向き合う私達の心の奥の悩みや不安を都合よく解消したいと願う。

  善かれ悪しかれ、人間の彫る像と言うのは人間のためにあり、それが現代美術における奇妙な形の彫刻の中にも同じ成り立ちのものを見る事が出来る。まさに 柴田芳作は、FRPという極めて現代的・化学的な素材を用いながらも、昔の人がコツコツと地蔵像を削ったように、今に生きる自分にとっての思いを宿す像を 作り出している。

  近作では絵画も制作に取り入れてはいるが、主な制作手法は彫刻である柴田は、室内であろうと野外であろうと、人間の体や脳に由来する形態のオブジェを空 間の中に思惑的に配置し、あたかも庭師が枯山水を生み出す過程のように念入りに角度を見ながら、やがて自身の庭を現出させる。その庭は遠くの山や森を借景 にすることなく、むしろギャラリーにおいては基本的に何も無いホワイトキューブと呼ばれる空間において、向き合う人々の心の中(あるいは脳の中と言うべき か)に広がる光景を引用させることにより、無機質と思しきオブジェ達が次第に有機的に関連し始める。鎮座する子供のような像は、まさに地蔵がごとく年齢不 詳を漂わせつつも、作家の意図としては明確に幼児であることを義務付けている。外見面ではなく、その像に込めている内面に関して、柴田ははっきりと無垢で 奔放であることを言っており、庭石のように配される脳みその形のオブジェ達にも同様にポジティブな意味が込められている。想像することの素晴らしさと、そ の深遠さ。

  おそらくは数多の彫刻家が苦しんで来た様に、柴田にとっても像を結ぶことによって鑑賞者の想像を妨げる困難は待ち構える。しかし彼自身が想像の自由と素 晴らしさを追い求める限り、その庭に広がる不思議な光景を、いつしか誰もが古刹の名庭のように尊敬をもって鑑賞する時が来るだろう。人間はもっともっと思 慮深く、精神を育むことの出来る生き物だと信じているから。

Information
・展示情報, お知らせ

Comment
・主催者コメント

Profile
・作家紹介, 略歴

Art Works1
・作品紹介1

Art Works2
・作品紹介2

Art Works3
・作品紹介3


2010 Gallery Schedule

Gallery Schedule Main Page

▲PAGE TOP
 neutron tokyo
 〒107-0062 東京都港区南青山二丁目17-14
 TEL & FAX 03-3402-3021
 mail : info@neutron-tokyo.com
 ニュートロン東京へは下記よりお問い合わせ下さい
 ・問い合わせフォーム
営業時間 11:00~19:00 (月曜定休)
地下鉄銀座線「外苑前」駅より徒歩約8分
「青山一丁目」駅より徒歩約15分
 
Copyright © neutron All Rights Reserved.