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Exhibition Review
飯田 真人 展 「NEW MODEL EXHIBITION」 【開催を終えての再考論評】

2009年6月3日(水)~6月21日(日) 3F mini gallery
文 / 小金 沢智 (neutron tokyo) 写真 / 表 恒匡

 近代の画家にとって写真の発明が「何を、どう描くのか」を突きつける大きな転換点だったように、私は彫刻家、ないし広く立体造形作家と呼ばれる作家たちに とって、極小の精密機械から巨大なスペースシャトルまでをも製造可能な現代の科学技術が、その制作にどれほどの影響を与えているのか考えずにはいられな い。すなわち、あれだけの機械を作ることのできるきわめて高い技術が産業としてありながら、しかもそれらが合理的で美しいかたちをしているならなおさら、 芸術品として制作され、美術館やギャラリーという枠組みの中で発表されなければならないものがある理由は何か、という問いである。彫刻とは存在への問いか けである、といういかにも芸術らしい答えがささやかれるかもしれないが、それでも、芸術らしからぬ問いが私の頭を絶えずよぎる。それでもあなたはなぜ作る のか。

  

  蒸気機関車、エンジン、工場。ブルーやオレンジ、グリーンなどのポップな色彩に彩られたそれらが、木製だと知れば誰もが驚くだろう。学生時代は油画を専 攻していた飯田が現在作るのは、一見金属と見まごうばかりの木材による造形物である。いずれのモチーフも、今はほとんど見ることがない、しかし一昔前であ れば日常的なものだったという点で共通している。人によればクラシックな造形に過ぎるかもしれないが、鮮やかな色彩に端的に表れているように飯田が志向す るのは過去ではなく未来であり、それはすべての作品に付けられている《new model》というタイトルにも見て取れる。

   

  そう、飯田は作品を通し、過去の再生を試みる。飯田が目的とするのは単なる機械の合理的な美しさでもなければ、最先端の技術でもない。制作の起点には、 機械が機械として独立するのではなく、機械が人とまさに共同作業のごとく動いていた時代への憧憬、そして何よりパーソナルなもの作りに対する欲求がある。 だから自分で作ることに意味があり、作品のサイズも手で抱えられる程度と決められている。

  

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