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"Kawaii+大賞展" 連動企画『microcosmos ⇔ universe』（グループ展）
2012年3月14日 (水) ～ 4月1日 (日) [ 会期中 3月19日, 26日 月曜閉廊 ]
日本の新たなる表現推進力として提唱する、「Kawaii+（カワイイプラス）」大賞展のスパイラルでの開催に併せ、neutron tokyo ではより深く・より大胆に「Kawaii+」の可能性を探るため、独自のグループ展を開催します。タイトルにある「microcosmos」と「universe」はそれぞれ「小宇宙」と「宇宙」を言い表すものですが、日本古来からの小さくて弱い（儚い）ものを愛でる「かわゆし」の伝統概念を「小宇宙（microcosmos）」に例え、一方では社会的な現象・昨今ではSNS などネットワークで繋がる現実世界を「宇宙（universe）」になぞらえており、双方を行き来しながら考察し・表現される物事から新たな「カワイイ」、つまり「Kawaii+」が見えてくるのではないかと考えています。
出展作家は「Kawaii+」大賞展の招待作家でもある三尾あすか・三尾あづちの双子姉妹と大槻香奈に加え、映像、陶立体、絵画など多様なジャンルからテーマに相応しい表現を生み出す気鋭の作家を集めました。それぞれが「かわいい」と一言で表現しきれない独自の世界観を兼ね備えた作家達であり、一概に「これがカワイイ」と言い切るものではありません。むしろ、従来の「カワイイ」に縛られず、個々の自由な発想と可能性に満ちた内容にしたいと考えており、それらが結集するギャラリー空間から結果的に「Kawaii+」と呼べる何かが立ち現れ、日本のアートの未来への推進力となることを期待するものです。
ここに簡単ですが各作家の紹介をしておきます。
まず一階のフロアでは、扉を開いた瞬間に現れる林勇気の映像作品。プロジェクションとモニター、それぞれを用いた上映方法で現代的なゲーム感覚に満ちた画面に、そこはかとなく感じられる情緒。それは何気ない日常を切り取って生まれるもう一つの世界であり、モチーフ達のコミカルな動きによって思わずニヤリとさせられることでしょう。その後に続くのは三尾あづちの立体・平面作品の数々。双子作家としての活動が盛んですが、今回は自分本来の制作を掘り下げて新たな試みを見せてくれます。心の動き、感情をキャラクター化した愛すべきモチーフ達が自立し、私達の前に佇むとき、私達もまた心の様々な動き＝キモチの大切さを知るでしょう。その親友でもあり大学時代に共に切磋琢磨した橋本佳代子は、久しぶりの登場となります。少女的キャラクター、漫画的モチーフを散りばめながら、画面の随所にシニカルなユーモアを漂わせる異色の作風。現代の鳥獣戯画のような世界観に注目です。
二階では、先日のINAX ガレリア・セラミカでの個展で話題となった陶芸の新鋭・篠崎裕美子が奇妙なフォルムと豊かな色彩による造形美をいかんなく発揮します。「イケヤン★」などでもお馴染みの作家ですが、オブジェと器それぞれに共通する独創性は、他の追随を許しません。そしてその色彩に負けず劣らず、華やかに会場を包むのは双子姉妹の姉、三尾あすか。従来のアクリルペイント、刺繍に加えて今回は新しく透過性ドローイングも取り入れ、繊細な感情表現を託す星形のモチーフの存在を浮かび上がらせます。
三階では慈愛に満ちた宗教観を作品全体に通底させ、豊穣な精神世界を平面・立体問わず様々な形状で表現するいちかわともこが、人気のマトリョーシカはじめ新作を多数揃えて楽しませてくれます。最後の部屋に登場する大槻香奈は、新作の大作を含めポートレートなどで自らが「水平線（地平線）のような存在として」描く少女達の世界観を進化させていきます。絶大な支持を獲得する作家の真骨頂をご覧下さい。
それぞれが見せる「カワイイ」の先にある表現は、私達それぞれの体内に入り込み咀嚼されることにより、これから先の時代の意識を変化させていくでしょう。皆様の感じる未来の「カワイイ」＝「Kawaii+」をぜひ、見つけて下さい。
gallery neutron 代表 石橋圭吾 |
