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Review
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Exhibition Review
橋本 佳代子 展「FACE」【開催を終えての再考論評】

2009年10月7日(水)~10月25日(日) 3F mini gallery
文 / 小金 沢智 (neutron tokyo) 写真 / 廣瀬 育子

  橋本佳代子の描く女の子は、いずれも目が複数ある。顔にはその沢山の目に加え口があるのみで、眉毛もなければ鼻もなく、耳は髪の毛に隠されている。デフォ ルメされ、ゆるやかな曲線で描かれる顔の中心に位置する目は、いずれもキラキラとした眼差しをこちらに向けている。《赤毛の子》(アクリル・ガッシュ・カ ラーインク・メディウム・キャンバス、242×333mm、2009 年)のように明らかに怒りを表現している作品や、《melt1》(アクリル・ガッシュ・カラーインク・メディウム・キャンバス、530×651mm、 2009年)のように顔全体が溶けていくイメージをシリーズ化した作品は珍しく、ほとんどが優しい微笑みを浮かべている。橋本によれば作品は、自身の感情 が表現された「自画像」としての意味合いがきわめて強い。

  

とは言ってもその自画像は、多くの自画像がそうであるような作家自身の美化ないし郷愁の産物ではない。いくつかの作品を見れば、それらが作家のきわめてス トレートな感情を吐露していることに気づくだろう。目の上に口が描かれ、髪の毛の部分に鮨が二巻浮かぶ《すしたべたい》(2009年)のまずタイトルの直 球さは、鮨がわずか二巻だけであることも手伝って鑑賞者に笑いを誘わずにいられない。

 

  

インター ネット・オークションで格安で手に入れたという掛軸を用いた《リボンキャンディー》(アクリル・ガッシュ・カラーインク・メディウム・掛軸[紙]、 1,320×330mm 、2009年)は、元々描かれていた作品とのコラボレーションを目指したとのことだが、結局当初の意図通りにはならなかったらしい。しかし、(もちろん目 が沢山ある)金髪の三つ編みの女の子と、多数のリボンが描かれている画面にうっすらと浮かぶ賛と落款の落差は絶妙で、気取った態度がないから痛快で面白 い。


《リボンキャンディー》
2009年 / 1,320×330mm (掛け軸2,000×445mm ) / アクリル、ガッシュ、カラーインク、メディウム、掛け軸(紙)



《赤毛の子》
2009年 / 455×530mm / アクリル、ガッシュ、カラーインク、メディウム、キャンバス



《melt4 》
2009年 / 242×333mm / アクリル、ガッシュ、カラーインク、メディウム、キャンバス

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・開催展示再考論評1

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