大槻 香奈 展 「すべてになるそのまえに」
2010年2月24日(水)~3月14日(日) [ 会期終了 ]
【略歴】
1984年生まれ、京都在住。
2006年成安造形大学イラストレーションクラスを卒業後、フリーの商業イラストレーターとして活動を行い、その後2007年2月にFM802が主催する アーティスト発掘プロジェクト「digmeout」のアーティストとして選出された事をきっかけに絵画制作を行うようになり、日本・海外で作品発表を行い 現在に至る。
現在、日本では年に約一度個展を開催している。絵画表現と平行して、りそな銀行の宣伝ビジュアル、映画「アンを探して」の劇中絵画や本やCDジャケットの制作など、イラストレーションとしての作品提供も行う。
【主な個展】
2007 「再生回路」 / digmeout ART&DINER(大阪)
2008 「わたしの海について」 / 北鎌倉小舎(横浜)
2009 「生み出す無」 / The Artcomplex Center of Tokyo(東京)
【主なグループ展】
2007 「FUNKY802 digmeout EXHIBITION 2007」 / 銀座ソニービル(東京)、マイナスケイプス(大阪)
「digmeout Rides again!」 / Compound Gallery(アメリカ・ポートランド)
2009 「3 Pins On a Map II」 / Compound Gallery(アメリカ・ポートランド)
「東京コンテンポラリーアートフェア2009」:neutron tokyo ブースにて出品 / 東美アートフォーラム(東京)
【イラストレーション】
2007 『幻は夜に成長する』 恒川光太郎(著) 挿画 「野性時代」第45号掲載
『株式会社ハピネス計画』 平山瑞穂(著) 表紙画
『CORE-O-RAMA Vol.2 』 MOB SQUAD TOKYO CD アルバムジャケットイラスト
『アホと呼ばれた80's』 岡力(著) 表紙画
『厨房ガール!』 井上尚登(著) 表紙画
『Minami Go! Round! with funky802.com』 宣伝ビジュアルポスター
『りそな銀行 RESONART』 キャッシュカード・宣伝ビジュアル画
2008 『ランウェイ☆ビート』 maha(著) 表紙画・挿画
『トーキョー語り』 辻村深月(著) 挿絵 「メフィスト」2009年1月号掲載
2009 『ベイビィ、ワンモアタイム』 南綾子(著) 表紙画
『待受★ジャム』 作品待ち受け画像・毎月配信開始
『sunday girl in silence』 KAREN CD アルバムジャケット
『アンを探して』 宮平貴子監督・全国公開映画 劇中絵で参加
2010 『空が分裂する』 最果タヒ(著) 挿絵「 別冊少年マガジン」2010年1月号掲載
「社会の中で生きる少女」ではなく「ひとつの自然物としての少女」を、作者自身のかつてあった少女時代の目を持って、子供心から感じる今の時代に対する素直な思いを表現している。
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2009年までの作品は、主に以上のような少女主体のテーマで描かれる事が多かったのですが、今回の個展では「少女のまわりに存在するもの、自然と傍にあ るもの達」をクローズアップし、それらのありのままの姿を作者の感じたままに描く事を目指しました。
その為に、今まで描き続けてきたテーマ「少女の中にある母の可能性」や「子供心に感じる社会へのメッセージ」「絵の中の人物より発し続けてきた言葉に出来 ない意志や強い感情たち」を、一度ひっそりと静める必要がありました。
それは私にとって、自然現象やありのままの出来事を受け入れていく姿勢を目指すものなのかもしれませんが、その意識よりもさらに極めて自然なことで、自分 の中には何も持たず、ただそこに立って風に吹かれているだけような、とても無意識の状態に近いものです。
それにより今回の作品制作は、ただ単に自然に対する敬意を表すものでも、美しい世界の有難さの表現を目指すものでもなく「ただわたしが今生きていて、自然 や社会を含むわたしを取り巻く世界は目まぐるしく廻り続けている」という事実がそこにあって、それを目の前にして私はキャンバスの上でただ筆を走らせてい るだけ、という極めてシンプルなものでした。
そこで見えてきたものは、ひとの意志より強いものは、きっとこの世にはたくさんあるという事でした。
それを自分の中に見つける事はもしかしたら不可能なのかもしれませんが、それでも良いのです。
自分を支配してきたものや、自分を少なからず意識的に存在させようとしてきた事や尾を引いてきた数々の思い出に気を取られているうちに見えなくなってしまったもの、今回の作品たちは私にとって、それらを探す旅のようです。
私だけでは見つかるはずのないものを、作品を通してなにか見つけて下さったとしたら幸いに思います。
2010年1月
大槻 香奈