柴田 芳作 展 「curious garden - 不思議な庭 -」
2010年2月3日(水)~2月21日(日) [ 会期終了 ]
【略歴】
1973 愛知県生まれ
2000 多摩美術大学大学院美術研究科修了
【個展】
2000 「Peraperachoukoku and Gunyagunyachoukoku」 / ギャラリーQ(東京)
2001 「Tekatekachoukoku with Benz and Art」 / ギャラリーQ(東京)
2002 「Deep Shape」 / GALERIA RASEN(東京)
2003 「Deep Shape II」 / ギャラリーK(東京)
2004 「Deep Shape III A Feeling of intellect - Other people-」 / ギャラリーK(東京)
「Camouflage Age」 / ギャラリーK(東京)
2006 「The Shape Voyage -A Beauty Hub-」 / 上松 Tsukij(i 東京)
2008 「A Garden in the mind」 / gallery neutron(京都)
「A change in the mind」 / ギャラリー Q(東京)
【グループ展】
2001 「Parking Along」 / プラザギャラリー(東京)
2003 「Galeria rasen 2003」 / ガレリアラセン(東京)
「多摩美術大学彫刻学科助手展」 / 多摩美術大学彫刻棟ギャラリー(東京)
「Gallery Q 20 years Anniversary Exhibition」 / ギャラリー Q(東京)
「多摩美術大学八王子彫刻展」 / 八王子市役所(東京)
「Artist Charity for the Children」 / ギャラリー K(東京)
2004 「多摩美術大学彫刻学科教員展」 / 多摩美術大学彫刻棟ギャラリー(東京)
2005 「18 日本コラージュ」 / ギャラリーK(東京)
「かわさき現代彫刻展」 / かわさき JFE Stee(l 神奈川)
2006 「ART COCKTAIL in KASAMA」 / 大谷石倉庫 Kasama(茨木)
2007 「ART COCKTAIL」 / ギャラリー金魚(東京)
「The Party」 / ギャラリーQ(東京)
2008 「ニュータウン☆パラダイス」 / 都筑民家園(神奈川)
2009 「画廊からの発言新世代への視点2009小品展」 / ギャラリーなつかb.p(東京)
「ニュータウンピクニック 都筑アートプロジェクト2009」 / 大塚歳勝土遺跡公園(神奈川)
【シンポジウム】
2005 「International Sympojium Varanasi 2005 - Sculpture and Petry -」(ヴァラナシ / インド)
【アートフェア】
2009 「101TOKYO Art Fair」(AKIBA_SQUARE / 東京)
私が心とは何か、あるいは現代の人間社会について把握しようとする時、はじめはひどく不規則な雑音的イメージが一瞬のうちに喚起され戸惑う。しかしその結 果として意識に生じるビジョンのなかに、今日を生きてゆく上での大切な豊かさを伝えてくれるものがあると気づく。それは「心」の奥底に沈む原始的、本能的 な「美」である。だから「心」は、私にとってたんに内側というだけでなく、夢を映し出すスクリーンでもなく可能性を無限に取り出すことのできる、とても不 思議な豊穣空間であると認識している。
私は1000gちょっとしかない脳という塊で起こる内なる世界の現象を唯一信用できるある種の桃源郷ではないかと直感している。「心」を意識し、感じ、探索し、思考し、理解すれば、かつてない新鮮な「美」に出会うことができるからである。
私はその発想を、「心の庭」として空間に表現している。いわゆる何かの一角を仕切ったような整えられたガーデンではなく、石組みされた庭園でもなく、花や 草木といった自然物はどこにもないが、目に見える現実の奥にある現実たらしめる根本原理を示すための庭である。例えば私の庭には脳を連想させる思考の襞を 纏(まと)った象徴的な立体や、肉体の変容を想わせる様な抽象的なオブジェが花、木、庭石の代わりに配置され、それぞれの人間活動の内なる世界の豊かで多 様な感覚を意識させる。
私は「心の庭」として表すイメージが、けっして夢の中だけの空想ではなく極めて実在的で、現代社会を生きる人々のとてもおおきな力となると考えている。そ してそこで発見したある種の宇宙観を共有し、森羅万象に向かって自由に発信できるような最も信頼できる能力となった時、一人一人の人生は新しい扉が開か れ、素敵な光に包まれることを願っている。
Dec,2009
SHIBATA Ho-saku
「curious garden - 不思議な庭 -」では子ども、鬼、神、鳥居、日本、そして思考をキーワードに「庭」を表現する。それはそれぞれの「心の原風景」として安楽な空間に思えるかもしれないし、不安を抱かせるような情景に写るかもしれない。
私は最近、子どもの天真爛漫さや正直さという純粋性が気になっている。安易に未熟として片付けてしまうことのできない要素を感じている。純粋性は、混迷し 飽和状態といえなくもない現代社会の人間関係についてとても大切な何かを示しているように感じるからである。未来を担う子どもから日本の今を考え、そして これからについて思うべき点は多いのではないか。時代の流れはどのように進んでいくのかは確かには予想できないが、私なりに正直に物語のような不思議な庭 として、日本の進むべき道を示そうと考えている。
「The new fetus」2009 年 / 310×410mm / acrylic on cotton panel