大和 由佳 展 「未踏の土地へ」
2010年6月9日(水)~6月27日(日) [ 会期終了 ]
【略歴】
1978 愛知県生まれ
2001 武蔵野美術大学造形学部油絵科 卒業
2003 京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程 修了
【個展】
2003 「大和由佳展」 / neutron 5F & B1 gallery(京都)
2004 「大和由佳展」 / neutron 5F & B1 gallery(京都)
2006 「地上の鳥」 / INAX ギャラリー2(東京)
「着地のために」 / gallery neutron(京都)
2007 「泥で洗う」 / ざくろ坂・御殿山ギャラリー一穂堂(東京)
2008 「泥で洗う- 食卓」 / gallery neutron(京都)
2009 「存在の満ち欠け」 / neutron tokyo(東京)
2010 「湿原の杖」 / 新宿眼科画廊(東京)
【グループ展】
2001 「群馬青年ビエンナーレ」 / 群馬県立近代美術館(群馬)
2002 「天竜川絵画公募展」・準大賞 / 秋野不矩美術館(静岡)
「entrancement」 / ギャラリーそわか(京都)
2005 「裏・アートマップ」 / 京都芸術センター(京都)
2006 「天理ビエンナーレ」・道友社賞 / 天理市特設会場(奈良)
2008 「point ephemere」 / Bunkamura Gallery(東京)
2009 「中之条ビエンナーレ」 / 伊参スタジオ(群馬県中之条町)
【その他】
2010 「RIVORA 2010-11 A / W collection」 展示会場の演出 / SPICA art(東京)
「東京アートフェア」 neutron tokyoのブースより出展 / 東京国際フォーラム(東京)
未踏の土地へ
ここしばらく大きなインスタレーション作品には、頻繁に水を使ってきた。
それより以前は水を使わずに、水の造形を別の素材で追っていた。
水が、これほどまで私をとらえて離さないのは、
水のもつ絶対的な「水平さ」ゆえにほかならない。
絵画から美術の道に足を踏み入れた私は、
すぐに「与えられた白いキャンパス」を前に呆然としてしまった。
世の中にはすでに多くの絵があったし、今日も生み出されている。
いったい、今更ここに描かれることが許されるほど価値あるものはなんなのだ、と。
描かれることを許されるものを探す道は
この世界への、ひとやものの在り方を問う道につながっていた。
「在ること」には、重力とそれを受け止める地面がかかわっている。
確かなたいらさがあれば、ひとは落下しながら立っていられる。
その確かなたいらさといえるもの、それを私は水面に見てきた。
「土地 / 湿原の杖に依って」というシリーズが昨年末から始まった。
これまで使っていた量とは比べ物にならないくらい少ない水を使って。
しかし水が減り陸地が現れてきたことで、
私はその土地に踏み込んで、その豊かな起伏を知ることが可能になった。
絶対的であるからこそ、触れがたい水面ではなく、
絶対的ではなくとも、ぬかるんでいるとしても、確かに足を踏み入れられる土地へ。