いちかわ ともこ 展 「屋根裏の小さな聖堂」
2010年1月9日(土)~1月31日(日) [ 会期終了 ]
【略歴】
京都精華大学デザイン学科 卒業
【主な個展】
2003 neutron 5F gallery(京都)
2004 neutron 5F gallery(京都)
2005 neutron 5F gallery(京都)
2006 文椿ビルヂング・ギャラリー(京都)
雨林舎(京都)
2008 「リリィホワイト」 / 文椿ビルヂング・ギャラリー(京都)
2009 ザ・パレスサイドホテル(京都)
「箱の中の記憶」 / neutron kyoto(京都)
【主なグループ展など】
2001 恵文社 / アンフェール(京都)
絵本「民族アパート」制作
京都精華大学卒業制作展
2002 絵本「おおきなサンタ」制作
2008 退職、フリーの作家として活動開始、HP作成
展示「ガケ書房車内冬の展示」(京都)
2009 展示「ガケ書房車内春の展示」(京都)
商品デザイン「Perfect Potion“ four seasons”シリーズ」
「ガケ書房もぐらスペースにてマトリョーシカとお菓子のお店」(京都)
オンラインショップにてマトリョーシカ販売開始
- 個展へむけたステートメント- いちかわともこ「屋根裏の小さな聖堂」
今回の個展のテーマは「聖堂」。
会場である“neutron tokyo ” の3Fには、吹き抜け、渡り廊下、テーブル、大きな窓、奥まった小部屋等があります。
初めてこの空間に足を踏み入れた時、誰かの家に来たような感覚がありました。
けれど家というよりもっと静かでおごそかな感じ... 教会にも似ているのかも...。
そう感じると心の中にいくつかのイメージが浮かび、この空間を屋根裏の小さな聖堂に見立てて作品を作りたいと思いました。
世界には様々な宗教があり、信仰する人々は心の中に神と崇めるものや祈りを捧げる空間を持ちます。
それと同時に無宗教の国もありますが、無宗教の人の心の中には祈りを捧げる空間はないのでしょうか?
これについて考えてみたところ、私は無宗教ですが、心の中に宗教に似た感覚を持っている事に気づきました。
心の中の神とは、身近な尊敬する人であったり敬愛する人、家族や先祖であったりするかもしれません。
また、自然や宇宙への畏れや敬いが神である事もあるかもしれませんし、創作活動そのものを指す事もあると思います。
それらは入信のための儀式もなければ、決まりや書物もありませんが、日常に埋もれた何気ないものであっても、それに励まされ、それのためには全身全霊を捧げたいと思えるものがあるし、それを思うだけで心の中に静かな平安が訪れる事もあります。
名前も形もありませんが、これも宗教といえるのではないでしょうか。
そして、このように心の中に「聖なる空間」を持っている人は多いのではないでしょうか。
その人だけが持つ、形にする事も口にする事もない、心の中だけに潜ませた名もなき宗教を。
今回の展示では「聖堂」自体に特定の宗教概念は持たせず、あくまで人々が祈りを捧げる場所としての特別な空間を表現したいと思っています。それは心の中の漠然とした空間のイメージです。
- どこか知らない国の知らない宗教の聖堂に迷い込んだような感覚-
こんな感覚を味わってもらえるような空間作りを目指しています。
何か特定の宗教を信仰している人にも、無宗教の人にも、自分で自覚していない心の中の神や宗教に気づいてもらうきっかけになればと思いますし、何より今の自分の信じるものを表現できればと思います。
ささやかですが、全ての人を迎え入れる聖堂になるように、そんな思いを込めて制作にあたりたいと思います。
「星堂」 2009年
365×183mm / 紙にアクリル