「 Stars on the ground 」 中比良真子 (平面)
2011年2月2日(水)~2月20日(日) [ 会期終了 ]
作品ステートメント / 展示概要
【制作について】
毎日の中で何気なく見過ごしてしまうような、ありふれた風景や小さな出来事。
それらは感情というフィルターを通すことによって、同じものでも全く違うもののように姿かたちを変えてしまうことがあります。
私が描くのは、どこにでも当たり前に転がっているような、それでいて繋ぎとめておくことが難しいような、風景であり場面であり心情の数々です。
複数の物語を語るように、ひとつひとつのテーマがシリーズとして枝分かれし、それぞれが独立しながらも共鳴するような世界を描き続けています。
《Stars on the ground》
「星が見えなくなった」
小さい頃からすでに、夜の景色は昔のそれとは変わっていたらしい。
それはあたかも、世の中が良くない方向へ向かっている象徴みたいに言われている。
満天の星空の下に居る自分を想像することは難しい。
今ここに居る私が夜の景色を思い描く時、心に浮かぶのは星空ではなく
無数にきらめく街の灯りだ。
街の灯り。
そのひとつひとつに小さくもあたたかな人の暮らしがあるのだと思うと、
星ひとつひとつの輝きよりも私にはいとおしく重みのあるものに思える。
どちらがいいかなんて、比べるものではないと分かっている。
星空の美しさを取り戻せるのならば、取り戻したいとすら思う。
ただ、街の灯りは優しい。
真っ暗な中あたたかい家への帰り道を照らしてくれる。
地上に輝く星みたいに。