「 Phantom hides upstairs 」 松井 沙都子(平面)
2011年6月29日(水)~7月17日(日) [ 会期終了 ]
作品ステートメント / 展示概要
私の作品は、複数のモチーフを組み合わせて作った絵画である。
組み合わせるモチーフには、既視感のある形態のものを選んでいる。
それらは自身の手でドローイング、またはトレースし、PC にスキャンしてデータ化する。
このデータをグラフィックソフトで編集する形でコラージュし、図案を作っている。
図案は、カッティングシート等にデータ出力し、マスキングシートとして使用する。
それを作品の画面に貼りつけ、絵の具で塗装し、加工している。
このように私は、直接的に「描く」という行為から距離を置いて制作している。
なぜなら、私は、自身の世界観を具体的に物語りたいとは考えていないためである。
むしろ、モチーフやその組合せ、あるいは連続する作品によって、何も具体的に見えてこない、不安定な状態を作り出したい。またこれを、具体的な要素のコラージュで成立させたい。
要素は全て寄せ集めであり、中心となる物語はない。
画面作りにおいて、図と地、手描きの線と幾何形態、フラットか質感があるか、全てにおいて、優劣はない。
両極端な物同士がコラージュされることで、新しい世界観を構築するのではなく、どちらにもなりきらないまま、強引に成立しているような作品が作りたいと思っている。
私は、恒常的に不安定でありたい。
これは、なんだかよくわからない存在のまま、ごく普通の人として社会生活が送れてしまっている自分自身への、また他人への興味に基づいていると思う。
2011年1月 松井 沙都子